正座が長時間できない皆様へ。

    先日、愛媛村内で”和装イベント”のお話が上がりましたのでそれに関連する雑学を一つ。

    正座をしていると足が痺れて長時間は座ってられない方が多いと思います。

    伝統的なお稽古事や武道などしている方でもそう長い時間は正座してられません。

    なぜこのような【苦行】が正しい作法なのか、結論から言えばそもそも皆さんがしている正座は正しい正座ではありません。

    本来の正座は、お尻と脚を少し浮かせた状態であり、お尻と脚の間に布を挟み、軽く引き抜けるのが正しい姿勢です。

    ですので「正座が長時間できない」のは現在人は当たり前なので、そもそも江戸時代などの昔の日本人とは筋肉や体幹が違いますから無理せず崩しちゃって下さいw

    『昔の人は凄かった』のは本当で、現代人とは比べ物にならないくらい体幹が鍛えられていました。

    例えば田植えなどもそうです。愛媛村の人の中には機械を使わず田植えしたことある方も多いと思いますがむちゃくちゃ足腰に来ますよね。

    お着物のでの立ち振る舞いもその”立ち振る舞い”そのものが筋トレでした。

    お着物を着用時、「捻らない」 「伸ばさない」が基本で現代の手と足が交差して歩く、西洋から来た””軍隊歩き””ではありませんでした。

    日本人は元々””難波歩き””といい、手と足が同時に出る歩き方をしていました。正しい難波歩きを行うと””丹田””を使うので体幹が鍛えられます。

    軍隊歩きだと腰を軸に上半身と下半身が捻られ着崩れします。

    床に落ちている物を拾う時も洋服でしたら膝を折らないで上半身を倒し「腰を伸ばして」拾いますがお着物の時は膝を落とし上半身を倒さないで拾います。ようはスクワットしている姿勢になるわけですな。

    着崩れの原因は着方や寸法以前に立ち振る舞いにあるのです。

    和装でエレガントに立ち振る舞うことそのものが筋トレだった江戸時代とは違い現代は西洋から来た『如何に楽に動くか』が基本の仕草で生きています。

    生きてるだけで筋トレになる生き方をしていた江戸時代の人々とはそもそも我々現代人は”筋力のアベレージ””が違っていました。

    筋力のアベレージが今と昔では全く違うので””本来の正座””が出来ないのは当然のことですから無理をして長時間正座する必要はありません。””生活習慣””が変わったのに””作法””が変わらないのは何ともナンセンスだと思いませんか?w

    では少し、本来の正座について掘り下げてみましょう。

    普段皆さんがしている正座、お尻を完全に脚の上に預ける状態だと膝裏の血管と神経が圧迫されて痺れるわけですが、お尻を少しだけ浮かせると膝裏の圧迫が軽減されてこの姿勢をキープさえできれば何時間でも座ってられます。

    あくまでも「キープさえできれば」ですw

    試しにタオルでも挟んで引き抜ける状態を保ちどれくらい座っていられるかやってみて下さい。

    1分維持できるくらいが普通、5分維持出来たら一般スポーツ選手級、10分維持出来たら一流アスリート級ぐらいに思ってください。

    自分が江戸時代の人々とどれくらい筋力に差があるか実感してみましょうw

    皆さんがしている正座と本来の正座には明確な””動きの差””が出ます。

    正座から次の動きに移る際、重心のポジションが違うのでワンテンポ変わってきます。

    ↓悪例

    ↓良例

    見比べてみると悪例だと動きがもっさりしているのがわかると思います。

    ↓さらに分かりやすく正座からの””初動””を揃えてみました。小窓が良例です。

    小窓の方が一瞬早く動いているように見えますが動き始め、”初動”は同じタイミングです。悪例だと良例にあるポジションに移るための初動が必要なのでまずこのワンテンポから狂ってきます。

    そして筋肉の緊張状態も異なるため動きそのものに違いが出てきます。

    動きそのものが違うので良例が立てた足を床につけた刹那には悪例は膝すら立っていません。

    この””刹那””に当時の武人達の『命のやり取り』が凝縮されていたわけですね。

    たかが正座、されど正座。ちゃんと意味があって昔の人達はあんな””苦行””してたんですねw

    ここまで読んで下さった皆さんもせっかくですので江戸時代の人々の強靭な身体に近づけるよう、少し意識して生活してみませんか?

    健康は食だけでなく、いつまでも動ける身体があってこそなので体幹を意識した生活をするだけで見違えるほど改善され軽やかな身体になれます。

    愛媛村の皆様がいつまでも健康に長生き出来ますように。

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    ワタタケ