村長インタビューvol.1:てこさん(前半)

今回は宇和島市吉田町出身で、鬼北町の限界集落一歩手間の農村地域で土地を購入し、ダーチャ(ロシアで一般的な農園付き別荘)を建てる計画を進めている通称“てこ”さんにインタビューをさせて頂きました。移住における問題点と未来の構想について、ご実家でもある『灯りシェアハウス』にてお話をお伺いしました。

Q:どのような経緯で鬼北町の土地を見つけられたのですか?

この集落のすぐ近くに相棒が勤めてたんよ。うちの旦那が。今は宇和島の別のところに移ったんやけど、そこにおるときに私がここの集落を相当気に入って「ここに住みたい!」って思ったんよ。

でそこに酒屋さんがいらっしゃって、その仲間にどっか空き家ないかなっていう話をしたら、集落の中で一番最初に相談するんやったらこの人じゃっていう人を紹介してくれたんよ。

そしたら今度その人が近所の人に「この人がここ相当気に入って住みたいらしい」って話をしてくれて、その集落の周りの人みんな出てきてくれて案内してくれたんよ。「あそこは空いとる」とか「今は空いてないけど、5年経ったらここの集落はもうみんな多分おらんなる」って冗談で話して。それぐらいの集落(笑)。

限界集落一歩手前なんやけど、場所が気に入ってその次に人も気に入って、もう絶対住みたいと思って、空き家を探すために通ってるうちに、畑と宅地を売りに出しとる人を紹介してもらって。そこを見に行ったらもう家はシロアリが食ってて、梁とかも使えん状態やったんやけど、そこを一式買うことになって。他の土地もいっぱいついてそのときは50万でかまんですって言ってもらって。

田んぼとかもあったんやけど、田んぼはやっぱ水利権とかがあって他の集落の人と調整せんといかんけん、私はまだ住んでないから調整もできんし。

あと山林とか何ヶ所かあってそこも外してもらって、欲しいところだけを売買契約するんやけど、昔の家やから家が建っとった部分だけ宅地やったんよ。やけん接道がなく、家までの道がない状態。

言ったら今度新築建て替えになるんで、そこを車が通るための通路は農地では駄目なんで、農地転用しようっていう話になって。農地転用にかけるには5条申請っていうのがあって、県に申請を出して手続きが1年ぐらいかかるかな。

私が買ったところがたまたま土地区画整理事業っていうて田んぼとかを区画整備をしてて、ちっちゃい田んぼを集めて1枚を広くして作業しやすいように改良したり、ちっちゃい田んぼを換地って言って、入り乱れてる土地を交換するってのをしたのが20何年前、もっと前かな? おじいちゃんらの時代にしとるわけよ。

そのエリアに入っとったもんだから、農地を宅地に変えるっていうのが最も難しい農業振興地域っていうところに入っとることになるから、国にしたらそこの農地は絶対農地として守りなさいっていう土地なんよ。減らしちゃ駄目ですっていう。

宅地に変える場合は、町で管理している農地が1ヶ所減ることになるんで、同じだけの農地を逆に増やさんといけんっていうような変な調整が必要な話らしいんよ。

そうやって調べていったら、どんどん申請が要るようになって。でもそれは手続きだけだから、実際にはそこは10年ぐらい耕作放棄地でほったらかしになっとるんやけん、正々堂々と申請を出しちゃろうって。

で、2年半かかって、先週やっと最後の確認に農業委員会の人が来てくれて、もうそれで申請が下りたらそこで10月には売買がやっとできるんよ。

今は農業振興地域じゃない農地だったら簡単に出来る。前は町によって3反以上とか農業者じゃないと買えませんっていう法律があったんやけど、それは今年の4月になくなったんよ。やけん畑買いたいとなっても今だったら全然OK。

半農半X、農業しながら自給自足しながら何かの仕事をするっていうので食べていくっていう人が今から増えていった方がね、食糧難になっても、住むところと食べるものが確保されとったら生きていけるけん。

私は井戸も掘った。水も絶対いるだろうって。すごいやろう(笑)。井戸も結局50万ぐらい要ったかな、1mが大体1万っていう相場があって、それで23m掘ったんかな。なるべく浅いところから出りゃいいんだけど。

ここが西日本豪雨のときに床下まで水が浸かったんよね。近隣の人で井戸を掘った人がいて、30mの井戸と隣が15mの井戸で、15mの井戸には濁り水が出たんだって。だけど30m掘ったところでは出んかったんよ。隣でよ。ほやけん深く掘ってるとやっぱその影響が少ない。何かあったときに。言ったら縄文時代の地層かもしれんやん(笑)。

そうそう、そこが気に入ったのが縄文時代の遺跡が出るとこなんよ。なんかね空気が違う。私は縄文時代に憧れてるから、縄文時代の匂いがする(笑)。気持ちのいいときやったらキャンプもできるけん。

で、今から更地にしていって着工が来年の4月にダーチャを建てる予定。

ロシアはお金をあげるとかそんなんじゃなくって、もう平等に勝手に好きな土地にダーチャっていう小屋を建てていいんよ。そこで週末ごとにそこら辺に生えてるベリー類を取ったり野菜育てて、それを持って普段働く場所、住んでる場所に帰るっていう。それがロシアの当たり前なんよ。国はタダでその土地を支給しとるんよね。今はお金を出さんといいとこは買えんなったとか言いよるけど。

それを私は日本でやったらいいと思ってて、ここのクヌギ林、ここを買ったの。(地図を指しながら)こことここ合わせて30万。安いよ。ここはトラクターに頼んで入って整備してもらうんよ。1反につき8000円でやってくれる公社があるんよ。1回大型トラックで入ってガーッとやってもらって、あとはもう自分らで植えれるもの植えて。私は土の改良をしたいからクヌギ林と竹林のフコフコになった土をもうどんどんすき込んでいくっていう。それで土壌改良をする予定。

でもほったらかしでも野菜が育ったけんね。カボチャもスイカも枝豆も里芋も全部すくすく育ってるから、肥料も何もやらずに。何もやらなくても育つんで。量を取ろうとしたり、綺麗な物を取ろうとしたら取れんけども、自分らが食べたり仲間に分ける分は全然OKよね。

土地区画整備しとるとこは太陽光発電は建てられませんって話やけん、建たんやろうけど、今度買おうと思ってるところが高台で、水は上から流れてくるから農薬の問題も気になるけん。そこにはハッピーヒルっていう陸稲がある。元々水田じゃなかったらしい。稲ってそれで十分育つんで。私の仲間はもう何人かその農法でやってて、その人らと自然生協を作ろうって今動きよる。農業と食べ物をまず自分らで確保していこうっていう動きがもう加速しとるけん、いい感じに今どんどん広がってきてるんで。

畑をそうやって確保できる人が確保する。私も自分1人ではとてもやれないから法人かグループ作って、私が死んだらその法人に任せるっていうような方針をちょっと作っておきたいなって。

近所の人もみんなもうやりかねとる。ギリギリで後継者もおらんし相続したい人もおらんのよ。荒らしたら怒られるし周りの人にも迷惑になるから、それやったらもう本当にやってもらえる人に頼みたいのよね。

タダでもいい。どっちかというとお金あげてもいいっていうぐらいの気持ちでみんなおるから、それやったら自分らがグループ作ってサポートができんかなって。今それで声かけていきよんやけど。

何か困ったときにそれぞれの情報をシェアできたり、何かあったときにはそれぞれが助っ人できるような。コミュニティ自体はちっちゃくていいんで、それぞれが助け合えるようなのを作りたいなと思う。

畑とか耕作放棄地買うのでも、今は私が自分で買える範囲で買ってるけど、本当はそういうことを目的として法人格を作って、ちゃんとそこが運営費も捻出できるような仕組みにしていった方がいいと思う。

だったらそこで働く人がいてもいいと思うんよね。それって絶対事業化できると思わん?  生産物とかをそれぞれがそこで売ったらいいやん。

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バンブー

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