村長インタビューvol.1:てこさん(後半)

今回は宇和島市吉田町出身で、鬼北町の限界集落一歩手間の農村地域で土地を購入し、ダーチャ(ロシアで一般的な農園付き別荘)を建てる計画を進めている通称“てこ”さんにインタビューをさせて頂きました。移住における問題点と未来の構想について、ご実家でもある『灯りシェアハウス』にてお話をお伺いしました。

Q:ここまでとても面白いお話だと思いました。一方で例えば都会の人が田舎に住みたいってときに移住する土地を探すのも結構大変なのかなって思うのですが、どうでしょうか?

大変よ。だって地理さえ知らんのよ。どんな人が住んでるかも分からんし。どこ行ったら買い物ができるかさえわからんやろ? 

だから私は先にそこのGoogleマップの写真を印刷して毎日見るわけよ。ここにスーパーがあるなとか、ここに何があったらいいかなって町のデザインを勝手に自分の頭ん中でするんよ。

で私この辺に住みたいなとか、ここに空き家ちょっと検討できそうなのがあるねとかって自分のマップを作るわけね。この集落全体でどういう形になると一番みんな楽しく暮らしていけるんかなって。

人も含めてまちづくりする。元々建築を仕事にしよったんやけど、建築家仲間と私ら何したいんやろうねって言ってたら、個人の家の中をどうのこうのじゃなくって、大きく言えばまちづくりなんじゃないかなって。まちづくり=人づくりだから。

まちづくりのデザインを公共とか省庁が法律作ったりしてやってるんだけど、それがひどすぎるんよ。道路の作り方からして家と家を分断させるような道路を作るわけよ。真ん中にバーンって(笑)。

外国ではここは住むところっていうエリアがあって、その周りまでしか車が入れないようになっとんよね。駐車場とかも家を取り巻く外側にあるんよ、大体。町の中自体は歩行者天国みたいな。だけど日本は道路が我先に作られるから。結局子供なんかは遊べんよな。

Q:なるほど、まちづくりなんですね。梼原(高知県)とかもそうですよね? まちづくりがあって人が集まってくるっていう。

仲間に家族で大阪から宇和島に移住してきた子がおるんやけど、梼原に行ってみたけど住むのやめたらしいんよ。何でかって、なんていうかな、システムが先行しすぎて人がついていってないって言うんよね。

空き家は見つかるんよ。梼原の空き家のシステムは、町が500万出して空き家がある人から10年間無償で借りるんよ。で、貸してもらったやつを町が改修するんよ。水回りも500万あれば大体綺麗になるよね。そのお金は町と県と国3分の1ずつ出すっていう仕組みがあって、梼原はそれを使ってるんよ。

で、それを使った上で移住してくる人に月額2万円ぐらいで貸すんよ。で、10年間そこに住んでみて、1回大家さんに戻すの。その段階でもしその家に住み続けたかったら売買の話を大家さんとする。その人らが出て行くってなったら、大家さんはその綺麗になったところをタダでもらう。もらうというか返してもらう。すごいいい仕組み。

なのにシステムが先行しちゃってて、その子曰くよ、結局住民の人らが移住してきた人でも「あぁ来とるね。」で終わりなんよ。言ったらその接点的な、その普通はすったもんだあってさ、ちょっと喧嘩もありながら仲良くなっていくやん? お互いに話して、ここはちょっと抑えようかみたいな話になってくるんだけど、それがないんよ。

結局家がすぐ見つかっちゃってるから。そこは苦労せんといけんのかもしれん。それが仲良くなるきっかけになってるんよね。私も結局誰も知り合いもいなくて、情熱だけでここに住みたいですって飛び込んだから。ここの人らは何とかしようっていうので答えてくれたわけよ。

綺麗な空き家があってすぐ住めとったら、多分私は集落の人と仲良くなれてないんよ。今はみんな心配してくれて、トラクターも出してくれるし、耕してくれるし。やっぱあまり下手に介入しすぎてもいかんのよ。本人がやっぱり努力はせんといかんのよね。基本はね。

ただ、やっぱり何かあったときにサポートできるといいかなって。それは思う。その人らがそこにどうやって溶け込んでいくかっていう、それも楽しいんやけんね。その辺を奪っちゃいかんよね。梼原は多分そこを行政が奪っちゃったんやと思うんよね。

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バンブー

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