村長インタビューvol.1:てこさん(前半)

Q:耕作放棄地が増えていってる一番の理由って何なのでしょうか?

耕作放棄地ってどこに行ってもあるやん? で、その持ち主を聞くとお父さんが亡くなっている場合が多くて、息子さんらは大体都会に出てて、その畑の在り処さえも覚えていないっていう人がほとんど、山も一緒。

結局、近所の人も勝手に人の畑だから使うわけにもいかんし。持ち主がいる間は、中山間とか草刈りしたらお金が出たりするっていうのはあるんだけど、それも使えないんよ。本当は持ち主が草刈りもしないといけないっていうことやけん、集落の人はボランティアで歩けないような道とかは草刈りしてるんよ。

耕作放棄地は農薬も切れてるから土も豊かになってるんで、私もここの隣が欲しいって耕作放棄地見つけては買おうと思うんだけど、持ち主を探すのに、役場も個人情報だから連絡先を言えないと。ただ役場としてもやっぱり耕作放棄地をなくしたいっていうのもあるんで持ち主に「買いたい人がいますけど、どんなですか?」いう手紙は出してくれたんよ。

そしたら持ち主からは売りたいですと連絡はくれて。ただ話しよったら、その売買の土地の値段よりも相続。まだお父さんから相続してないんで、結局行政書士さんとか司法書士さんがやってくれる相続の手続きの方にお金が30万ぐらいかかるって言われて、何筆かあったけんね。

私が提示したのは土地の値段が10万までやったんよ。10万で土地が売れたとしても、30万払ったら20万の赤字になるよね。だからちょっと待ってくださいっていう話で今ストップしてる。結局そこで止まってる人は多い。

そうやってほったらかしにしとる人、あるかどうかも知らない人がほとんどなんで、国は山林と畑全部、土地家もそうだけど、それに関して5年以内に相続を終わらせなさいっていう法律を作ったんよ。ただ罰則はまだないんよ。

だからそれがどうなるかなっていうのを役場の人と話しよったんやけど、罰則ついたら多分もうパニクるでしょうねって役場の人も言ってたんやけど。そこがもう手つかず。

Q:聞いてみて意外だったのは、みんな売りたいという気持ちはあるんですね。

ある。みんな地元の人に迷惑かけたくないからっていう理由を言う。やっぱりお父さんが生まれ育ったところだから自分が育ってなくても、そこの集落の人が困ることはしたくないというそういう考え方。

ただそこにお金を自分をつぎ込むっていうことがなかなかできない。お金がいらないんだったら、もう好きにしていいですよっていう感じ。今私がその役場と相談した上で対策としては、借りるっていう。そしたら相続関係ないけん。

ただ相続する人の兄弟とかの半分の判子、4人兄弟がいたらそのうちの2人がお父さんの名義のままで貸すのはOKですっていう書類は必要になるけど。それが取れたら借りられるっていうのが相続の書類を作らなくて済む方法。

とはいえ一番いいのはきちっと相続しておく方法でしょうね、と言われるけど。でもね、山林なんか何十筆って持ってる人もいっぱいおるんよ。だから一筆が例えば5万やったとしたら、全部入れたら本当に100万単位になる人もおるんよね。その相続だけで。それはもうほったらかすよね。

そこのところの費用もある程度行政が絡んでくれたらいいんやけどね。空き家も似たようなもん。 みんなに話聞いてたら、別にもう帰る予定がないから全然売るのも貸すのも構わないけど、お父さんの荷物がそのままやけん、ちょっとどうしていいかわからない、とかそんなことを言ってる人が多いかな。

固定資産税は本当に知らなかったっていうぐらい山林とか畑は微々たるもんなんよ。年間で1000円いかないんじゃないかな。

「あるんですか畑?」って。あと2ヶ所あるみたいですよって私の方が知っとるぐらいやから(笑)。その辺の整理を引き受ける組織があれば多分依頼殺到すると思う。

金額も行政書士さんによるけん、私は良心的な仲間がおるからいつもその人にやってもらう。そこは契約よね。仕事は持ってくるから割安でお願いします、みたいな。そんなチームを作ったらいいと思う。いろんな知識持っとる人がチーム組めば大体は解決するよね。

という感じで私の最終的な計画は今森林が押し寄せとるところにあと集落が2つあったんを復活させたい。裏山には城跡があるらしくて、子供のときに集落の人がみんな遊びに登りよったんやって。そこを自然公園にするところまでやりたいなと。集落の中でも自分らが楽しみながら生きていこうっていう活動をしてる人らがおるとこなんよ。そういう村作りが一緒にできたらいいかなっていう感じかな。

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バンブー

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